私は、ブラジル東北部を視察旅行中、ブラジル・メソジスト教会東北教区の監督のすすめにより、9月13日〜15日の三日間、2年に一度開かれている教区の教会学校教師研修会に参加しました。ブラジル東北部は、地図で言うと、南米大陸の右に飛び出した部分で、完全な熱帯です。教区といっても、ここだけで日本の3〜4倍もあります。遠くからは夜行バスに乗って、合計90人が集まりました。
「私たちは何者か。神の前で、子どもたちの前で、教会の前で」という今回の主題に基づき、まず教師たちは自分たちの経験をグループで分かち合い、それを絵に書いて発表しました。次にメソジスト教会の組織や特徴について学び、自分たちのアイデンティティーを確認しました。
二日目は、人形劇、ゲーム、歌、神学、心理学、教育学の六つのセミナーに分かれて、じっくり研修の時です。私は人形劇と歌のセミナーを見せてもらいました。ブラジルの教会学校では、人形をよく使います。大きなユーモラスな人形から、靴下改造型の小さな「へびくん」まで、キャラクターがとても充実していて、独特の楽しい世界を作り上げています。上手な人は、日本同様、腹話術の技術を巧みに用いて人形と話をしますが、初心者でも人形だけ見せて、それなりに使えるのでうれしいです。
(人形の使い方の練習)
夜の自由時間に、私はみんなに折り紙を教えてあげました。ただしやり始めると、なぜかすぐに停電になります。それが二回も続いたので、とうとうある人が訴えにきました。「トシ、頼むからやめてくれ。オリガミはブラジル人のエネルギーを使い過ぎる」。
別れの集会では、聖餐式ではなく、出エジプトの「約束の地」を思い起こして、牛乳と蜂蜜とパンでおやつをしました。甘い味と楽しい交わりの思い出が、今でも舌と心に忘れ難く残っています。
(牛乳と蜂蜜とパンでおやつ。中央の男性が松本牧師。)
(松本敏之)
(雑誌『教師の友』への投稿、1996年10月。12月号に掲載)