ブラジルの熱い風(3)

 昨年末、サルバドールで行われたWCCの世界宣教・伝道会議の後、私たち一家はサンパウロへ戻らず、そのまま新しい赴任地レシフュ/オリンダへ引っ越した。ここは、サルバドールから北へ840キロ、南緯8度に位置する熱帯都市であるが、海岸線は海から絶えず吹いてくる風のため意外に涼しい。

 1月に行われたブラジル・メソジスト教会北東部宣教区の教区総会で、正式にオリンダ郊外の貧しい地区、アルト・ダ・ボンダーデとカイシャ・ダグアの二教会の協力牧師として任命を受けた。ブラジル人の主任牧師と二人で、二教会の説教・牧会を分担する。ただし私の主な責任は、二教会がそれぞれの地域の人々に奉仕するコミュニティーセンターと共に歩むことである。

 コミュニティー・センターの活動は、1970〜80年代にアメリカ、イギリス、ドイツのメソジスト教会の支援を得て、ブラジル・メソジスト教会全体に大きく広がった。この活動は、メソジスト教会が本来もっている社会への奉仕を大切にする姿勢と、カトリック教会のキリスト教基礎共同体運動の影響が結びついたものと言える。ただしもともと国内外からの支援によって成り立っている傾向が強かったので、90年以降、教会が保守的になり、海外からの支援も減ってくると、運営が非常に難しくなってきた。

 教会付属の無料の学校と保育所は、今も地域で大きな役割を果たしている。両教会あわせると、300人以上の子どもがここに集う。わたしは、これらの学校で子どもたちと週日礼拝を始めた。主に日本の紙芝居を用いながら、聖書の話をしている。ブラジルには、日本のような紙芝居がないので、子どもたちもとても楽しみにしている。



(紙芝居を使って聖書の話をする筆者)

(『キリスト新聞』連載、1997年4月)

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