前回、ブラジル北東部で大干ばつによる深刻な飢饉のため、相次いで食糧略奪などが起きたことを報告したが、今回はそうした事態の中、堅実な救助活動を続けている組織、ディアコニアの働きを紹介したい。
セルタォンと呼ばれるブラジル北東部の奥地は、一つの国に属し、人が密集して住む地域としては、地球上で最大の乾燥地帯であり、地球上で最も貧しい地域の一つである(D.ブロッキ)。ディアコニアは、ブラジル・プロテスタント超教派の社会活動組織であり、ブラジルでも特に生活条件が厳しい、この北東部を活動対象地域としている。1967年に始まり、現在ではルーテル、聖公会、メソジスト、長老主義、改革派、組合教会、アドベンティストなど、11の伝統的なプロテスタント教会がこれに加わっている。活動指針として、「福音の証言および、正義・公正・連帯の原則に従い、神の国の建設に責任的にかかわること」「社会変革、人間性の向上の道具としての福音の重要性」「疎外された人々がその尊厳を回復するべく、彼らをもてなす神の包括的な愛」などを掲げている。
今回の大干ばつに伴い、ディアコニアでは緊急支援として食糧配布をしながら、根本的対策として、井戸掘りや貯水タンクの設置事業を進めている。この4月以降では26の井戸と25の貯水タンクを住民たちと共に作ってきた。乾燥地帯と言っても、地下にはブラジル有数のサンフランシスコ川に通じる大水脈があるそうである。「私は渇いていた…」(マタイ25:35)と名付けられたこの事業は、広大な北東部全体からすれば、限られた地域の小さな働きであるが、「神の国」の到来を指し示す希望のしるしである。
ディアコニアでは、英語のホームページを開設したので、関心を持ってくださる方は、アクセスしてみてください。http://www.elogica.com.br/pj/diaconia。更なる問い合わせは、ディアコニア
(註・上記URLは現在アクセスできないようです。2003年8月)
(『キリスト新聞』連載、1998年9月)